
相続してから一度も住まないまま、気づけば6年。江戸川区にあるご実家を持て余していたお客様から、「毎年の固定資産税と管理費だけが出ていく状態を、どうにかしたい」というご相談をいただきました。
築40年を超えた木造住宅、遠方にお住まいのご所有者、そして区役所からの管理に関する通知。三つの事情が重なり、身動きが取れなくなっていたケースです。ご相談から約2か月で買取による売却が完了し、年間の維持コストはゼロになりました。
その経緯を、ご相談時の状況から順にご紹介します。
※本事例は実際にいただくご相談内容をもとに再構成した架空の事例です。物件情報・ご相談内容は実在のものではありません。
目次
1. 物件・お客様の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| エリア | 東京都江戸川区(最寄駅から徒歩12分) |
| 物件種別 | 一戸建て(木造2階建て) |
| 築年数 | 築45年(昭和55年築) |
| 土地面積 | 82.5㎡(約25坪) |
| 延床面積 | 78.4㎡ |
| 空き家期間 | 約6年 |
| ご所有者 | 60代・男性(会社員) |
| ご所有者のお住まい | 神奈川県横浜市 |
| ご相談のきっかけ | 区からの管理に関する通知書 |
| ご相談から引渡しまで | 約2か月 |
2. ご相談に至った背景
ご相談者のAさんは、江戸川区で生まれ育ち、就職を機に神奈川へ。お母様が亡くなった6年前、ご実家を相続されました。
当初は「いずれ自分が戻るかもしれない」「兄と相談してから決めよう」という気持ちがあり、家財もそのままにして施錠だけして帰ったそうです。ところが仕事の異動やお子様の進学が重なり、話し合いの機会は先延ばしに。年に2、3回、草を刈って郵便物を回収するための往復だけが続きました。
転機になったのは、区から届いた1通の通知でした。庭の樹木が隣地へ越境していること、外壁の一部が剥がれていることについて、適切な管理を求める内容です。強い表現ではなかったものの、Aさんは「このままだと、もっと重い話になるのでは」と感じ、インターネットで空き家の売却について調べるなかで当社へお問い合わせいただきました。
3. お客様が抱えていた3つのお悩み
悩み1|住んでいないのに、税金と経費が毎年出ていく
Aさんが負担していたのは、固定資産税・都市計画税だけではありませんでした。使っていない家の火災保険、止めずに残していた電気と水道の基本料金、年数回の草刈り代、そして横浜からの交通費。ご本人の試算で、年間およそ20万円が「何も生まないまま」出ていく計算でした。
悩み2|解体すべきか、そのまま売るべきか判断できない
築45年の木造住宅です。「建物を壊さないと売れないのでは」と考えつつ、解体費用が150万円前後かかると知って手が止まりました。加えて、更地にすると固定資産税が上がるという話も耳にしており、どちらに進んでも損をしそうで決断できずにいたのです。
悩み3|家財がそのままで、片付けから始める気力がない
室内には、お母様の家具・衣類・食器・アルバムがそのまま残っていました。仕分けのために横浜から何度も通う時間が取れず、「まず片付けないと相談もできない」と思い込んでいたことが、行動を遅らせる大きな要因になっていました。
4. 空き家を放置すると、何にいくらかかるのか
Aさんのように「とりあえず持っているだけ」の状態でも、費用は発生し続けます。ここで一般的な内訳を整理します。
毎年かかり続ける維持費の例
| 費目 | 年間の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 固定資産税・都市計画税 | 数万円〜十数万円 | 評価額・面積により変動 |
| 火災保険・地震保険 | 2万〜5万円 | 空き家は割高になる場合あり |
| 電気・水道の基本料金 | 1万〜2万円 | 契約を残している場合 |
| 庭木の剪定・草刈り | 3万〜10万円 | 年2〜3回の実施で |
| 見回りの交通費 | 数千円〜数万円 | 遠方所有の場合は負担大 |
「税金が上がる」のはどういうときか
住宅が建っている土地には、固定資産税の課税標準を軽減する住宅用地特例があります。小規模住宅用地(200㎡以下の部分)は6分の1に軽減されるため、建物を解体して更地にすると、この軽減がなくなります。「壊すと税金が上がる」と言われるのは、この仕組みが理由です。
ただし、建物を残しておけば安心、とは言い切れなくなりました。2023年12月13日に施行された改正空家法により、放置すれば特定空家等になるおそれがある空き家は「管理不全空家等」として市区町村長が指導・勧告できるようになっています。そして、勧告を受けた管理不全空家等の敷地は、住宅用地特例が解除されます。
つまり、管理が行き届かない状態を続けていると、建物を残したまま税負担だけが増える事態も起こり得ます。Aさんが受け取った通知は指導や勧告の段階ではありませんでしたが、放置を続ければその手前まで進む可能性はありました。
使える可能性がある税制の特例
相続した空き家を売却する場合、一定の要件を満たすと譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例があります。
昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること、相続開始の直前まで被相続人がひとりで住んでいたこと、相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却することなどが主な要件です。
適用期限は令和9年(2027年)12月31日まで。なお、令和6年1月1日以後の譲渡で相続人が3人以上の場合、控除額は2,000万円になります。
Aさんの物件は昭和55年築で、お母様がひとりで暮らしていた家。相続から6年が経っていたため3年の期限は過ぎていましたが、この制度をご存じないまま期限を迎えてしまう方は少なくありません。売却を考え始めた時点で確認しておきたいポイントです。
5. 当社からのご提案
初回のご相談で、Aさんに三つの選択肢をご提示しました。
提案1|解体してから土地として売る
更地にすれば買主の層は広がりますが、解体費用を先に負担する必要があります。売れるまでの期間、軽減のない固定資産税がかかる点もリスクです。
提案2|古家付き土地として仲介で売る
売却価格は最も高くなる可能性がありますが、買主が現れるまで数か月から半年以上かかることも。その間、家財の片付けと管理は続きます。内覧のたびに横浜から通う負担も生じます。
提案3|家財をそのままで当社が直接買い取る(採用)
当社が買主となるため、片付け・解体・境界の整理はすべて当社側で対応します。Aさんの負担は、書類のご準備と決済当日のご来店のみ。価格は仲介より抑えめになる代わりに、期間と手間を最小化できます。
Aさんは「金額の最大化より、この件を終わらせることを優先したい」とのお考えでした。年間20万円の維持費が続くこと、隣地への越境が近隣トラブルに発展しかねないことを踏まえ、提案3を選ばれました。
6. 解決までの流れ
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STEP1
お問い合わせ・ヒアリング(1日目)
お電話で30分ほど、物件の状況とAさんのご希望を伺いました。この時点では現地の写真もなく、「登記簿もどこにあるか分からない」という状態でしたが、必要書類は当社側で取得できる旨をご説明しています。
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STEP2
現地調査(8日目)
当社スタッフが単独で現地を確認しました。Aさんの立ち会いは不要です。建物の傷み具合、越境している樹木の状況、前面道路の幅員、給排水管の引き込み、そして家財の量を確認しました。
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STEP3
買取価格のご提示(12日目)
調査結果をもとに、2,280万円のご提示。解体費用、残置物の処分費、越境樹木の伐採費をすべて当社が負担する条件です。Aさんからは「差し引かれる項目が明確で判断しやすかった」との言葉をいただきました。
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STEP4
ご契約(22日目)
江戸川区内の当社事務所でご契約。Aさんは形見の品として、アルバムと数点の食器だけを事前に引き取られました。残りの家財の処分については、契約書にすべて当社負担と明記しています。
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STEP5
決済・お引渡し(59日目)
司法書士立ち会いのもと、所有権移転と代金のお支払いを実施。同日、火災保険の解約と電気・水道の停止手続きについてもご案内しました。ここでAさんの負担はすべて終了しています。
7. 解決の結果|Before・After
数字以上に大きかったのは、「いつか考えなければ」という宿題がなくなったことだ、とAさんは話されていました。
| 項目 | ご相談前 | 解決後 |
|---|---|---|
| 年間の維持費 | 約20万円 | 0円 |
| 固定資産税 | 継続して負担 | 負担なし |
| 家財の片付け | 手つかず | 当社が全処分 |
| 解体費用 | 約150万円の負担を想定 | 0円(当社負担) |
| 越境樹木の問題 | 未解決 | 当社が伐採・解決 |
| 区からの通知 | 対応できずにいた | 所有権移転により解消 |
| 手元に残った金額 | ― | 2,280万円(諸費用・税金控除前) |
8. お客様の声
一番ありがたかったのは、片付けをしなくていいと最初に言ってもらえたことです。母のものを捨てるのが辛くて、それが理由で6年も動けませんでした。写真だけ持ち帰って、あとはお任せする。その形にできるとは思っていませんでした。
税金の話も、うちの場合はどうなるのかを具体的に説明してもらえたので納得できました。もっと早く相談していれば3,000万円の特例が使えたかもしれない、と聞いたときは少し悔しかったですが、これ以上引き延ばさなくて良かったと思っています。
(江戸川区・60代男性)
9. 担当スタッフからのコメント
このご相談で印象的だったのは、Aさんが「片付けが終わっていないから相談できない」と考えておられたことです。同じ理由で数年動けずにいる方を、これまで何人も見てきました。
家財が残ったままでも、登記簿が手元になくても、ご相談は可能です。むしろ、状態が悪くなる前にご連絡いただいたほうが、選べる手段は多く残ります。
Aさんのケースでは、相続から3年という空き家の3,000万円特別控除の期限が過ぎていました。仮に相続直後にご相談いただいていれば、手取り額はさらに大きくなっていた可能性があります。「まだ決められない」という段階でも、期限のある制度があることだけは知っておいていただきたいところです。
江戸川区は木造住宅密集地域を含み、区としても空き家対策に取り組んでいるエリアです。ご自身の物件がどういう状態にあるのか、現地を見て率直にお伝えします。
10. 同じようなお悩みをお持ちの方へ
次のいずれかに当てはまる方は、一度ご相談ください。
- 相続した実家が空き家のまま1年以上経っている
- 遠方に住んでいて、管理のために通うのが負担になっている
- 家財が残っていて、片付けから手をつけられずにいる
- 解体すべきか、そのまま売るべきか判断できない
- 自治体から管理についての通知が届いた
- 固定資産税や維持費の負担を今年で終わらせたい
ご相談・現地調査・買取価格のご提示まで、費用はいただきません。ご相談いただいた結果、「今は売らない」という結論になっても構いません。まずは現状を把握するところからお手伝いします。
※本記事の税制・法制度に関する記載は2026年7月時点の情報です。個別の税額や特例の適用可否は、所轄の税務署または税理士へご確認ください。



